「なにタカまで飛び降りてんの、バカ」


その声にまた胸が熱くなって、涙がどんどん出てきた。

キノの首にぎゅうぎゅうにしがみついた。

子供みたいにわんわん泣きながら岸まで連れてかれ、草の上に倒れこむ。


キノの荒い息が聞こえて、私はしがみついた腕を離すことが出来ずにいた。


もうわけがわからなかった

でも安心しているのには違いない。




「タカ、風邪引く、あっちに上着あるからちょっと待ってて」


「や、だ、ひくっ、いかないでっ」



私の腕をはずそうとするキノに必死にしがみついた。
キノが困ったようにええっと声を出す。

手を離したら、また、キノが危ないことする気がして怖かった。



「しょうがないな、ほら、しっかり捕まってて」


キノに抱えられて土手の階段まで移動して土手に上がった。


「お兄ちゃん、上着!」


「あ、ありがとう」


……え

なに今の声


しがみついたままその声の主を見てみると
小さな女の子と、その脇に濡れた真っ黒な子犬が、心配そうにこちらを見ていた。


「あとは大丈夫だから、暗くなる前に帰りな」


「うん、ありがとうお兄ちゃん」


女の子は子犬を抱き抱えるとにっこり笑って走っていった。


キノが上着をかけてくれて、それでも私が腕を離さないものだからキノもその場に座り込むしかなかった。

おかしいな私


どうしちゃったんだろ。