キノを助けるはずが、バカだな私は。
これがミイラ取りがミイラになるってやつ?
ちょっと違うなぁ。
助けるって意気込んでいたのに
もう、心で私が助けてって言ってる
どーしようもない。
…
助けて
川の流れの中で腕だけはと必死に水面に伸ばした。
誰かが
掴んでくれるってなんとなく思ったから。
「―――――カっ」
バシャッ
いつも
本当はどこかで期待していた。
生き物好きで自由で人の気持ちも分からないバカだけど
それでも大切なことは全部知っていてくれてる。
私が嬉しいことも
辛いことも
きっと
今だって…
腕が強く引っ張られたと思うと、水面に顔が上がった。
声を出すよりも先に咳がきて、声が出ない。
私は、目の前の心配そうな顔を見て
どっと安心感が押し寄せて涙が溢れた。