キノを助けるはずが、バカだな私は。

これがミイラ取りがミイラになるってやつ?
ちょっと違うなぁ。


助けるって意気込んでいたのに


もう、心で私が助けてって言ってる


どーしようもない。






助けて



川の流れの中で腕だけはと必死に水面に伸ばした。


誰かが


掴んでくれるってなんとなく思ったから。









「―――――カっ」










バシャッ



いつも

本当はどこかで期待していた。

生き物好きで自由で人の気持ちも分からないバカだけど


それでも大切なことは全部知っていてくれてる。


私が嬉しいことも

辛いことも



きっと

今だって…







腕が強く引っ張られたと思うと、水面に顔が上がった。

声を出すよりも先に咳がきて、声が出ない。

私は、目の前の心配そうな顔を見て
どっと安心感が押し寄せて涙が溢れた。