「はい、ついた」


「職員室まで送ってくれ」

「…はい」


しぶしぶ登校してきた生徒の視線を浴びながら私は職員室までそいつを送ってやった。


朝からとんだ災難だ。

やっぱりゆっくりするもんじゃない。



「ありがとな」


「いえ、じゃあ」


「待てよ」



なんだ次は

嫌な予感を頭によぎらせながらジトッとした目を作りふりかえると

ヤンキーの手が伸びてきた。


「なっ、あ、」



パチンッ

頭の近くで
そんな音がなる。


あれ

心なしか視界が広くなって…



「やっぱ、似合うな」


「な、なんだ、え、」


「貸してやる。
また今度返せよ」


「ちょ、ちょっと!?」



パチンッの正体は
髪止めだった。

いったいなぜヤンキーがそんな髪止めを持って何を思って私に止めたのかまったくわからない。


私は職員室に入っていくヤンキーを眉をよせて見つめた。