「よーし、じゃあ、寝よう」
「あ、ちょー、狭いし」
「いいじゃんいいじゃん」
保健室のシングルベッドが二人分の重みでギシッときしむ。
キノは隣に潜り込むと布団から顔を出した。
「がおーっ、くっちまうぞー!」
「ぎゃあぁあっ」
キノが覆い被さるように私の上にのると布団ごと抱き締められた。
「もっふもっふ」
「苦しいんだけど」
「んー、そう」
やめる気はまったくないらしい。
ため息をつきながら布団に身を委ねる。
「タカはさー、子供何人ほしい?」
「それ今話すこと?」
「大事な話じゃん。男の子?女の子?
どっちも?」
「……キノの稼ぎ次第」
「まじ?じゃあいっぱい稼いだら子沢山?」
「かもね」
「じゃあがんばろー」
よーし、と意気込むキノ。
いくらなんでも話が早すぎるんじゃないだろうか。
子供なんて
だいたい私達まだ子供みたいなもんだし。
キノは布団越しに胸辺りに顔をくっ付けてきた。
布団がごわごわするぐらいだから抵抗もしない。
キノの頭のてっぺんが目に映った。
少し癖のついた髪の毛は
癖になるぐらいふわふわで子供みたいに柔らかい。
私は知ってる。
キノの頭撫でるの好きだから。
「俺、家族、欲しい」
途切れ途切れに呟くキノの声を聞き取って
私ははっと息をつまらせた。