緊張しすぎて倒れるって
あるのか、本当に。
ばかばか
本当のばか。
「そんなに眉寄せない寄せない
かわいい顔が台無し」
「かわいく、ない、し」
「そんな自分責めんなって、」
「でも、」
「わかった、じゃあ、タカのせいだ」
「ごめんなさい…」
項垂れながら目をつぶる。
たくさん遊ぶつもりだった。
お化け屋敷いったり
手作り動画みたり
色んなもの食べて
終わってしまった。
全て
終わってしまった。
「だから、その代わり、将来は俺と結婚しよーね」
「……………は?」
「だから、タカが気絶したせいで今年の文化祭回れなかったから
お詫びに将来結婚して」
「文化祭と結婚て、なんか、違いすぎない」
「約束して」
差し出された細長い小指。
話が突飛すぎて頭がおっつかない。
私は三回ぐらい瞬きをしたあと
キノに小指を絡めた。
「お」
「私でいいなら、けど、キノがどっか行く可能性もあるし」
「タカが居なくならないなら俺だって離れないよ」
「そ」
ゆーびきーりげーんまん
子供っぽくぶんぶんと結んだ小指を上下に振りながらお決まりのまじない。
ゆーびきった、と言ってキノの指が離れていくと
キノは飛びっきりの笑顔をくれた。