舞台の上で

キノはリハーサルなしとは思えないぐらい完璧な演技を見せた。

一言も噛まず

苦手なダンスも軽やかにステップを踏んだ。


すごいよキノは


私の心配返して欲しいぐらいだ。



もう、なんか

世界中の人に自慢したい



この人私の彼氏なんですよすごいでしょー!

なんて。


なに考えてんだばか。

集中集中


舞台の上をしっかりと見据えて私はぐっと手を握りしめた。


がんばれキノ


私の分も


シンデレラはガラスの靴を置いて舞踏会を抜け出したところで暗転した。


エリちゃんがドレス姿でこちらに走ってくる。



「つっかれたー…」


「お疲れさま、早くまた着替えないと」



用意されたボロい方のシンデレラ衣装に即座に着替え
せわしくまたエリちゃんは舞台へと走った。

エリちゃんすげー


もうすごいとしか言いようがない。

近くに来たときすごい熱気だった。


体力があるんだろうな。


今度来たときタオルぐらい即座に渡せるように私はエリちゃんのタオルを片手に持つ。


物語は終盤まできていた。

恐ろしく時間が早く感じた。


差し出された靴に

小さなエリちゃんの足がぴったりとはまると

また暗転した。