教室にいくと吉田さんと既に衣装を身にまとったエリちゃんが待っていた。


二人とも私達の顔を見たとたんほっとした表情をみせた。



「やっときたー!!よかった!!」


まず真っ先にエリちゃんが近寄ってきてキノにそう言った。

吉田さんはにがーい顔でこほんと気持ちを整えるように咳き込むとキノの前に立った。



「謝罪も全部終わってから聞く。

今は早くこれに着替えて」

「ここで?」


「そう」


「早く早く!」


二人に急かされキノは王子の服装に着替える。
貸衣装ぐらいの出来映えで、本当に細かいところまで凝っている。

まこちゃんすげえな。

手先器用なんだなぁ。


キノはバカみたいな役とか言ったけど

全然そんなことない。


様になってるし。




「じゃあ、その格好で宣伝含めて
講堂まで七瀬さん手を引っ張って走ってって」


「はあ、…え?」



キノは頷きかけ目を開いた。



「はい、高橋さんと私は紙吹雪」


「はい」


「さあいったいった。

もう15分きってるんだから」


「けど、タカ、手…」


「いいよ、とにかく早くいこ。
ほらキノ、エリちゃんの手をとって。

あ、こら、腕は痛いでしょ」


エリちゃんの腕を握ろうとするキノの手をエリちゃんの手に繋がせる。



「いいの?フーちゃん、ジェラシーわかない?」


「はは、わかないわかない」


「嘘つけ〜」


「行くよ」



そんな会話をばっさり絶ちきり先人をきる吉田さん。
教室を一歩出るともうそこは文化祭。

仮装なんてさていたら嫌でも人目が集中する。



「11時より、講堂にてシンデレラの劇を行います!!皆様ぜひぜひいらしてください!」



走り出す吉田さん。

慌ててキノも走り出してエリちゃんも腕をひかれて走る。


私も必死で走りながら花吹雪を手につかみ上に向かって投げる。


ヒラヒラと舞う紙吹雪


エリちゃんとキノは廊下を走る。


人が廊下に道をつくる。


気付けば何人も後ろからついてきてくれた。


私はもう一度花吹雪を舞わせた。



ああ

楽しい。



キノも珍しく人前で笑ってる

演技じゃなく笑ってる

エリちゃんも楽しそう



いいな。




こういうの


楽しい