キノが唇を離すと

私は目を薄く開いた。


キノは最後に頬と髪にキスを落とすと

ゆっくり立ち上がって私に手を差しのべた。

その手に捕まり私も立ち上がる。



それからまた、ぎゅっと抱き締められて、

私はまた息が出来ない。




「何回でも言うけど

好き。タカのこと、めちゃくちゃ大好きだから」


「どうも」


「あら、戻っちゃった。

いつもあれくらい素直だったらいーのに」


「……ダメ?」



そう言うと
キノは笑いながら首をふった。



「いいよ、もう、タカの本音聞けたから

もう十分

あ、でも、もういいってわけでもないけど」


「なにそれ」


「タカの口からまた聞けるの、いつでも待ってる」



ニコーッと最高の笑顔を見せたキノ。

なんだか半分脅迫されている気分。


けど
これからはもっと素直に話すって思ってるから

キノの想いに応えれるように

頑張るよ。




「タカ、今何時?」


「え、あー、と」



携帯を見てみる。



「10時30分…、」


「結構やばい?」


「ううん、たぶん大丈夫。
みんな焦ってるだろうから早く行こう。

あ、メール入れとこう」



エリちゃんにキノが見つかったと連絡をいれ、私とキノは急いで教室に向かう。


既に始まっている文化祭。

楽しそうに人が行き来する廊下を

キノに腕を握られて走った。


はあ

こんなときも引っ張られるのか。


恐らくキノは無意識なんだろう。


まあ、いいか。


……いや、


私は変わらなくてはいけない

キノはきっと鈍感だ。

キノを好きだという気持ちがちゃんと伝わるように


私は積極的に動かなくてはならない。



「き、キノ!」


「なに?」


「て、手を、繋ぎませんか!」


「え?この方速くない?」


一瞬立ち止まったキノに衝撃的な一言を吐かれ

私は息も絶え絶え、どん底に落とされた気分だった。

キノが、


キノが本音が聞きたいっていったんでしょ〜っ!!