「ふ……」
キノが一瞬だけ
声を漏らした。
しばらくそのまま固まる。
やってしまった
初めて
自分からキスをした。
死ぬほど
恥ずかしい
だけど
この瞬間が
たまらなく愛しい。
会話のないこの時間が
私は好き。
キノの唇の形、感触
嫌なほど神経が集中している気がして。
頭から爪先まで全てがドクンドクンと振動している。
ゆっくりと
顔を離すと。
キノは口を半開きにして驚いたように私を見つめている。
すると、するするとへたりこんだ。
そんな、驚く?
まあ、いっか。
私も膝をつけてキノを見つめる。
うーん…
ダメ、緊張して声が。
見つめられると、ダメなんだ私。
打開策として
私はキノの首に抱きついた。
額をキノの肩に押し付ける。
ああ
安心する。
大好き
大好き
そう伝える。
今こそ
この気持ちを
伝えるんだ。
「キノ、」
「は、はひっ」
「なんでキノ緊張すんのよ」
緊張する役は私でしょーが。
笑っちゃうじゃん。
「だ、だって、タカが、自分から、」
「黙って、聞いて」
キノの言葉を遮ると
キノはもうしゃべらなかった。
私は一呼吸おいて
もう一度
口を開く。
「私は、誰よりも
世界で一番キノを
愛してるよ
大好き
キノが大好き。
キノ以外なんて考えられない。
キノに会いたかった
私、本当に、キノが思ってるより、好きよ
好きすぎて苦しいくらい」