「まあ、いいんだけど」
「え、いいの」
「キノが私から離れていかないなら
私もキノを手放したりなんかしない」
側に居てくれるなら
好きって思ってくれてるんなら
手もキスもエッチもいらない。
キノが側にいるだけでいい
それだけでいいし
それ以上の要求もしないって決めている。
「けど、それって付き合ってんの?」
「私たちがそう思ってたらそうなるよ」
「まあそうなんだけど
手も繋がなくてキスもしないのに、高橋さん不安じゃないの」
不安?
自由奔放な上彼女にまったく手を出さないキノ
それを不安だと思ったこと、ないわけではないけれど。
絶対的に信頼しているわけでもなければ
どうでもいいと思ってるわけでもないんだけど
束縛するのは
私のキャラじゃないし。
キノだって嫌だろうし。
「キノがどこで何やっても、私はキノを待ってる」
「……健気だねぇ
俺だったらあんなやつ絶対無理だけど」
「無理っていったらそこで終わっちゃうじゃん」
なるほどねとマヒロくんは呟くと立ち上がった。
「嫌になったら、いつでも手放していんだよ」
「うん、わかってるわかってる」
「キノと高橋さん煮えきらなくて見てらんないんだよな」
マヒロくんは
ほんとに優しい人なんだろうな。
「マヒロくんは彼女いないの」
「あー、俺束縛されんの嫌いなんだよね
だから高橋さんみたいな人理想かも」
「イケメンなのにもったいないね」
マヒロくんはそこでやっと笑ってくれた。
マヒロくんは
ほんとに彼女出来たらその人のこと大事にするんだろうな。
それに比べて……キノ!!
あんたのなかでは
私は猫以下ですか!?
キノのゴミクズ
早く帰ってきてよ