たこ焼きを当たり前みたいに何も言わず奢ってくれたマヒロくんはマジで紳士だと思った。


たこ焼き屋の近くのベンチに座ってたこ焼きを頬張りながらマヒロくんはキノのことを愚痴っていた。



「言い出しっぺが居なくなることってあんのか普通」

「キノを普通って考えたら間違いでしょ」


「高橋さんはよくやってられるよな。
嫌になんないのあいつのこと」



うーん

確かにキノに関しては年がら年中ムカつくことも嫌になることもあるけど



「さすがに、なれました」


「それは…御愁傷様」


しみじみとマヒロくんはたこ焼きを口に放り込んだ。


「前っからなんだよ。あいつのああいうの」


「小学校のときとかから?」


「いんや、てか、あいつと初めて会ったのって中学のときだし」


「えっ、幼なじみじゃないの」


「違う違う、家近いけどあいつが中2のとき引っ越してきたの」


「そうだったの」



ずっと幼なじみだと思ってた…

キノ引っ越してきたのも初耳だし。
私って結構キノについて知らないこと多いんだよな。


「引っ越してきたときからあんな感じ?」


「全然、むしろなんか危ない感じの方あったよ」


「危ない?」


「なんにも寄せ付けない感じ。
まあ人見知りってとこもあるんだろうけど」



キノの人見知りは今に知ったことじゃない。

初めて会ったときも目さえ合わせてくれなかったし。


「一度なれるとうざいぐらいなついてくるタイプなんだ」


「ああ、そうそう。子供にありがちなね
わかってるね高橋さん」


「もう一年になるからね」