知らなくてもいいと思ってた


たとえ何も知らなくても

キノが側にいてくれるならどうでもいいことと考えていた。


ゆっくり毎日の会話の中で知っていけばいいと思っていた。


確かにキノは予想できない行動ばかりしてくれる。


だけど

自分の命を軽んじるようなことをしたのは初めてだ。

当たり前だけど。


どうして?


どうしてといえば、最初に思い当たるのはあのどっきりなのだが

たかがあんなすぐ嘘と分かるようなどっきりを信じて

命を投げ出すほど追い詰めるような内容じゃなかったはずた。


私にはわからない


なにもわからない


キノ、どうしてあんなことしたの?


本当にどっきりを信じただけなの?


あんなことで追い詰められてしまったの?



私のせいだ


悪のりなんてしちゃだめだ。

キノのことよく知らないくせに、私はバカだ…


額の汗を脱ぐってキノの手を握った。


今、いったい何時だろ


外は真っ暗だ。


キノの顔をじっと見つめていると

キノの手が少し動いた。



「キノ?」


「…………ん、」


うっすらとキノは目を開くと
唇から微かな声を出した。

キノの顔が私に向けられるとキノの手がゆっくりと私の頬に伸びてきた。



「タカ…泣いてるの」


「泣いてないよ」



言葉とは裏腹にぼろぼろと流れてくる涙。

キノは相変わらずぼんやりとした表情で私を見ていた。