キノがマヒロの隣に並びながら歩き
私はその後ろをついていく。
これ私がこっそり居なくなってもキノは気づかないんだろうな。
けど、
これは嫉妬でもなんでもないんだけど
なんでキノはこんなにマヒロくんのこと好きなんだろ。
私と会う前からあんな感じだし
幼なじみだろって勝手に思ってるんだけど。
だったら私の優先順位マヒロくんより下でも仕方ないのかな。
どっちの方好きなのとか直接聞いたら…
"そりゃマヒロの方好きだよ!"
とか言いそうだもんな〜キノは
怖くて聞けるわけない。
入道雲がゴロゴロ音をたてながら流れていくのを聞いていると
ほんとに夏を実感する。
信号に差し掛かって止まるとぽつりと
水滴が落ちてくるのを感じた。
「……雨?」
呟いた途端
大粒の雨が顔に落ちてきた。
「わああああ」
キノが笑いながら青になった信号と一緒に駆け出した。
私とマヒロくんは顔を合わせやれやれと言った感じでキノについていった。
キノはバス停の屋根の下まで走ると子供のように雨を眺めていた。
「夏なのに、雨!」
「そりゃ雨ぐれー降るわ」
マヒロくんは煙たそうに空を覗いてまた息をはいた。