『別に、いいんだよ
だって俺のせいじゃん。
俺が側にいられなかったから、』
「キノがっっ、カエ、ル、
追っかけない、ほう、心配だからっ」
魚屋とか、肉屋とか、本屋とか
人と人をすり抜けながら商店街を走り抜ければ
土手が目にはいる。
あと少し
あと少し
土手に差し掛かり
きっとキノはこの先の橋にいるんだろう。
息を乱しながら私は足を止めなかった
なんでこんな必死なの私
つら、
キノが
不安なこと言うから
変なこと言うから
なんで
こんなキノは初めてだ。
こんなキノは知らない。
怖い
怖いよ
『タカは、俺を自由にさせてくれたから
タカだって好きにしていいんだよ』
「私はっ、いつも好きにしてるよ!!」
『タカ、』
携帯を耳からさげ、
私は肩で息をした。
きっと今のをタイム測っていたら
今までで一番いいタイムだっただろう。
そんな余裕なんてない
私は目を見開いていた。