「芽依!パスしよう!」
「うん、いいよ!」
いつも通り、友達の芽依と、パスをしていた。
ダーンッッ!
「あぁ!ごめん!」
ありゃあ、まぁた壁にぶつけてるぅ。
「もう!芽依!これは壁、歩未はこっち!OK?」
私は壁じゃないんだから!
「あのね、芽依。壁に恋をしても、実らないからやめた方がいいよ?(笑)」
「もう!歩未ったら、バカじゃないのぉ?私が壁なんかに恋なんてするわけないじゃあん!(笑)」
あれ?でもよくみたらこの壁・・・かっこいい?
「どうしたの?・・・もしかして、歩未、壁のことが好きなの?」
「へ?な、なにいってんのさぁ!そ、そんなわけないでしょお!」
そうだよ。私が壁に恋なんて・・・。
「歩未、壁に恋しても実らないよ?つまんないよ?手、繋げないよ?」
「手なら繋げるよ?」
ほら、と、私は壁と手を繋ぐふりをしてみせた。
「壁ドン出来ないよ?」
「できるよ、ほら。」
そういって私は壁ドンされるふりをした。
「で、デートできないよ?」
「ここですればいいもん。」
そういって私は、小さい体でこのひろーい体育館を表した。
「子孫が残せないよ?」
「そんなのいらねぇよ!」
全く、芽依はなにいってんだよ!
「ピーーも出来ないよ?」
「だーかーらー!・・・はぁ、もういいや。」
ピーーなんて、子孫作りとかわらねぇじゃねぇか!
私、どうして壁のこと“好き”なんて思ったんだろう?