網戸の向こうで夏の虫が騒いでいる。もう、この季節なのか。 「あちー...」 声に出したところで涼しくなる訳などない。 遠くで子供達の甲高い笑い声も響いている。 夏休み、か。 確かに俺にもあった筈なのに。もう覚えてないや。 いや、覚えてる。ユカとの思い出はちゃんとこの胸のうちに眠ってる。