『何?俺に見惚れた?』
さっきのアイツの言葉…
アタシの頭の中、見透かされてるみたいで何か…モヤモヤする。
って、別にアイツの事とか何とも思ってないけどさ!
何かムカつくってだけだし!!
それよりお腹減ったし!
何か食べよ。うん。
冷蔵庫の中身を漁ろうと、キッチンに続く通り道である
リビングルームに入った時だった。
「さっきはよくもやってくれたねぇ。
俺ちょっと寂しかったなー」
人ん家のソファーに寝転がって、
そう言ってニヤリと笑うアイツ。
田口洋介。
「…っふ、不法侵入だし!!」
「菜央が開けてくんないのが悪いんじゃん」
……開ける必要なくない?
アタシが得するわけでもなし。