やっぱり、ライウも会いたいんだね。


思い出の中のたった1人の大切な人に。


あたしが両親に会いたいみたいに―……


「前の主人のお墓、覚えてる?」


ライウが額に手をあてて目を閉じる。


「うっすらと、記憶に残ってる。そう遠くはないはず……」


あたしはライウの額の手を、自分の手で包み込むと、スクッと立ち上がった。


「前の主人のお墓に行こう!」


「……いいの?」


前の主人のお墓に行ったら、ライウはもう家に戻ってこないかもしれない。


けど、行く。


もう二度とパンドラの箱をつくらないように。