“7:40”

また、学校に向かった。レインコートは時間が無かったから着なかった。傘へと当たる雨の音が妙に耳に響く。気の所為だろうか。

“7:55”

また学校に着いた。ゆっくり歩いた所為だ。
教室のドアを開けようとしたら先生に止められた。担任の吉田幸成。

「なんで、入っちゃ駄目なの?」

「…それは言えないんだ」

不意に独特の鉄の匂い。何か分かっている。奴の血の匂いだ。
僕は先生を見上げて、知らない振りをする。