大学時代のサークル仲間のマルとは卒業してからもたまに会っている。

映画制作のサークルに入ったものの、集まり特有の内輪感に馴染めなかったわたしに声をかけてくれたのがマルだった。マルはもともとの明るい性格で先輩からも後輩からも好かれていた。


八方美人か、と最初は嫌悪感もあったけどマルのおかげで楽しくなったのは事実だったし、マルがいると楽しかった。



「よくここで飲み会したよなー。」


格安の居酒屋の前を通り、マルは懐かしそうに口にした。


「マルはよく先輩に飲まされてたよね、あんまり強くないのに」

「そう!藤谷先輩!あの人酒入るとしつこかったー…」