教室へ戻ると由香と皐月が
次の授業の準備をしていた。
「ねぇ、2人ともっ。さっき
はごめんね。」
「あっ雪菜!!大丈夫なの?!てか
ちょいちょい桑田何ちゃらって人が
教室くるんだよね。」
「そうそう。うちらに雪菜の事
聞いてくんの。雪菜ちゃんいるー?
って。雪菜はモテるねー。」
「そんな事ないってっ!!
2人も十分モテるでしょー?」
2人と話してると和むなー。
自然と笑みがこぼれてくる。
「無理しないでね。無理だったら
私らに言うんだよ?」
「うんっ。ありがと由香。」
心配してくれる2人が本当に
優しくて。
人の温かみって良いな…。
次の授業を告げるチャイムが鳴った。
***
何とか、授業を全て受け終わり、
帰りの準備をしていると、
「おい今藤。ちょっと急用が入った。
仕事の手伝いは今度な。」
「えっ。そうなの?分かったー。」
高ちゃんは急いで教室を出ていった。
高ちゃん忙しいなぁ…相変わらず。
「雪菜って担任と仲良いよね。」
「あー。だって、小さい頃よく
遊んでもらってたから。
だから、お兄ちゃんみたいな感じかな?」
「へぇー。いいねぇ。」
3人でそんな雑談をしていると
桑田君と遭遇した。
桑田君は相変わらずにこやかで
本当に子犬みたい。
拓也さんとは性格が正反対
だもんなぁ。
「雪菜ちゃんっ。俺と
今日遊ぼっ!!…ねっ?」
「……うん。」
2人は私たちを違和感ありげな目で
見ていて。
正直、2人に止めてほしかった。
けど、付き合ってる何て2人は知らない。
「…じゃぁ、桑田君と遊んで帰るね。」
「うん。でもどうせなら校舎まで
一緒に行こっ♪ね?」
「皐月…。うんっ!!」
きっと皐月と由香はこれ以上
2人の中に踏み込んじゃいけないって
思ってる。
皐月の今の言葉は、皐月なりの気遣い。
2人は私の気持ちに気づいてる。
4人で一緒に校舎まで行く。
そこには私の専用車が止まっていた。
「雪菜。帰るぞ。」
「た、拓也さんっ…!!…えと、あのっ!!
今日は桑田君と遊んで帰るから、車は
いらない…。代わりに由香と皐月を
送ってあげて?」
「…分かった。…けどどした?
何かあったのか…?」
「う、ううんっ!!何でもないっ!!
桑田君行こっ!!バイバイ2人ともっ!!」
拓也さんにだけは知られたくなくて、
私は、急いで拓也さんから離れた。
この行動に拓也さんは違和感を
覚えていたけど、拓也さんだけじゃ
なく桑田君も由香も皐月も違和感
を覚えてるみたいだった。
***
桑田君とカフェに入って少し
落ち着いた頃、さっきの事を聞かれた。
「さっきのあれは何だったの?
雪菜ちゃん何か合ったの?」
「原因は桑田君だよ。」何て
言えない。傷つけたくないから。
桑田君には安心していて欲しい。
「ううん、何でもないよ。」
「そっか。何か合ったら
俺に言ってね。」
「うん。ありがと。」
それから私たちは、たくさん
会話して、何気に楽しかった。
こうして、人を好きになっていくんだ。
こうして、桑田君を好きになって
楽しい恋愛をしていくんだ。
これから私が見る相手は拓也さん
じゃなくて桑田君なんだ。
…新しい恋をするんだ。