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放課後、私が教室を出ようと
すると、桑田君が私の所へ
やって来た。
「あ、ちょうど、桑田君の
所へ行こうと思ってたんだ。」
「まじ?俺も、んで今来た。」
相変わらず、桑田君はチャラすぎる
容姿には似合わないスマイルで。
「まぁ、とりあえず、専用車
に行こっか。」
私がそう言い、歩き出すと、
その隣を桑田君が歩く。
鼻歌まで聞こえてきそうな
足取りで、今の桑田君はご機嫌
のようだった。
ちょっと気になったから、
試しに足をストップさせると、
桑田君もストップする。
止まるタイミングもぴったしで。
(犬かっっっ……!!!!)
なぜか私は、1人で突っ込み。
そんな、奇妙なやり取りを
して専用車の所へ着いた時
やはりたっくんは、待っていて。
「お、雪菜。お疲れ…って誰?そいつ。」
(あ、たっくん、桑田君のこと
知らないんだった。)
どう説明するか。
ヘタすると、ヘタするよね…。
たっくんが怒らない程度に…。
「んっと、今日パーティーに
来る“お友達”だよ」
わざと、友達を強調して言ってみた。
たっくんは、一瞬何か考えた後
あっさり、OKしてくれた。
すると、さっきからずっと
黙ったままの桑田君が何か思い出した
ようで……、
「あぁ!!!!俺ずっと、どこかで
見たことあると思ってたんだけど、
今藤さんの執事ってまさかの…、」
桑田君がたっくんの方を見て、
「荒澤財「はい。そこまで。」
何か言いかけたとき、それを
たっくんが遮った。
「てめぇ、ちょっと厄介だな。
とにかく、早く乗れ。」
たっくんは、私達を専用車に
乗るように促した。
私達が専用車に乗った瞬間
車が動きだし、なぜか猛スピード
で走り出した。
(このスピード絶対
捕まるって…!!!!)
あり得ないくらいのスピード。
運転手さんはプロだから
こんなのお手のもの。
家に着くと、私の心臓はバクバク。
死ぬかと思った。
あれは、本当に命の危険を感じた。
と、ふと桑田君を見れば、
「楽しかったぁ…。」
と呟いており、
私は、この時、初めて桑田君は
馬鹿なのだと思いました。
そんなクレイジーな桑田君を
家に入れ、急いでパーティー用スーツ
に着替えさせた。