「決心は着きましたか??」


「はい。」

実はここに来るのは二回目で。
一回目は、怪しい椅子に座らせれて
四時間眠りについた。
そして簡単な説明を受けて帰った。


「前回、草野さんが寝ている間に草野さんが売りたい記憶の部分を何倍速にもして軽く見さしていただきました」


私はとりあえず軽く頷いた。


なんでこんな怪しいところに来てしまったのかというと

私の記憶を売りに来たから。

8年前の記憶を
お金に変換して無かった事にするために
あんな怪しい椅子に座って
前回夢を見た。


「前回もお話しましたが。草野さんの記憶は主にテレビや、映画などを作るときに参考にさせていただきます。草野さんの記憶を丸々使うのではなく皆様から頂いた記憶と言う名の“物語”を参考にし、ドラマや映画を作らして頂きます。もちろん草野さんの知人、家族、恋人らに気付かれる事はないと保証しますのでご安心ください」



「はい。」


正直どうでも良かった。
早く消してさえくれれば
どうでも良かった



「記憶の内容によって、値段は変わります。それが10円だったり1000万だったり、それこそピンキリです。」

「はい。分かってます」



「尚、記憶をいただく際に草野さんには事故にあったという“設定で”入院していただきます。その際に“記憶を無くしてしまった”という事になります。もちろん事故といっても本当に事故にあっていただく事はないので、ご安心ください。頭を強く打ったということにさせて頂きます。」


「あの、入院費とかは」


「もちろん、無料でございます。ただ、記憶喪失ということに致しますので、その記憶について家族があなたにバラしてしまったら、こちらは何もフォローできませんのでご了承ください。家族が草野さんにばらす事はありますか?」



「いえ。絶対にないです」


家族に8年前の事は話してないんだ。
バラされる筈がない。



「ーーでは次は草野さんに今回お売りいただく記憶の内容について、質問をさせていただきますがよろしいですか?」


「はい。」



「では、この椅子に深くおすわりになって、目を閉じてください。」



私は言われるがまま怪しい椅子に座り
ゆっくり目を閉じた