「体調どうかな?」
白い白衣を着た優しそうなおじさんだ。
……まあ医者はみんな白い白衣を着てるか
「母から事故にあったと聞かされても信用できないくらい元気です。頭は痛いですけど。」
「レントゲンとかとっても何も異常がないからね。恐らく轢かれたというよりかすった程度だったのかな?」
かな?って言われてもなんも覚えてないからなあ
私は軽く愛想笑いをした
「多分一週間もしないうちに退院出来るだろうから。」
ああ、それは助かる。
「……そういえば」
「ん?どうしたんだい?」
「あ、いえ、なんでもないです、体調とかの話ではないし……」
「なんか嫌な夢でも見てたのかい??」
「え?……いや、嫌な夢……というか多分とても……とても暖かい懐かしい夢だった気がします…………。」
「ほうほう。そうか。じゃあ小さい頃に体験した夢だったとかかな??。」
「……いや?よく覚えてないですけど、多分、きっとそうだったんでしょうね」
それにしてもなんで夢のことを話そうとしたのが分かったんだろう
こういう患者多いのかな
「きっと草野さんにとって大切な思い出なんだろうね」
「はは、そうだったんですかね」
いくら考えても夢のことを思い出せない。
夢ってそんなものだよね。
「百未ー、着替え持ってきたわよー!!……ってあら!先生!!」
先生を見るなり荷物を私の机に置き
猫をかぶる母
ああ、年も近そうだし、母から見たらストライクなんだろうね。
「この調子なら二、三日で退院できると思いますよ」
「あら!良かったわねー」
「……うん」
母の少し残念そうな顔を全力でシカトした