「りょーちゃん、りょーちゃん」

私は抱きついた
強く強く抱きしめた


「どうした?なんか学校で嫌なことでもあった??」


いつも私が何か嫌なことがあるとりょーちゃんは私の頭を撫でた



違うよ。私もう学生じゃないよ。


ごめんなさい。
こんなに大切にしてくれた人を
私は泣かして傷つけてしまった
本当に
本当にごめんなさい。


強く目を閉じて今までの事を精一杯思い出した

ーー

“りょーちゃんってどんな映画見ても泣かないよねー。心が冷たい証拠だ!”


“好きな奴の前で泣くなんてダサくてできないだけだっつうの。”

ーーー



“もも、運転してみる??”


“え?嫌だよ”

“ほら、やってみな、ここ人通らないし真っ直ぐな道だから、それに俺ここにいるし、ほら”



“え?助手席からハンドル動かせっていってるの?え?……ちょっとハンドルから手を離さないでよ”


“ほら、ももが運転しないと事故るよー、”



“……こう?”


“ってちょ!危ない!グリグリ曲げすぎ、傍からみたら飲酒運転に勘違いされるわ”



“りょーちゃんがやれっていったんでしょー!!あー、もうりょーちゃん嫌ーい”




ーーー


“ポップコーン何頼む?”


“え、キャラメルじゃない?っていうかカウンターまできてそれ聞く?”



“え?塩じゃないの?”


“はー?キャラメルがいい”



“駄目、塩がいい”


“じゃあ映画見ない”



“出た出た”



“出た出たって何よー”



“あの、……お客様、ハーフにしては如何でしょうか??”



ーーー



ねえ
私ね、次の年の花火大会の時もここの近くまで来たんだ、

でもあの時は車だったから、
その時私は免許持ってなかったし
歩きでの行き方がよくわからなくてそのまま迷って
いつの間にか花火が終わっちゃって、親に迎に来てもらったけど。


もし、あの時私が迷うことなくここに来ることが出来たら貴方に会えましたか??