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ヒューー・・・ドーー・・・ン


「りょーちゃん、本当ココ穴場なんだねー!!」



「いい眺めだろー!!……ってお前信用してなかったのか」



「だってわたし達以外にここに人いないから、ついね」


「ついじゃねーだろ」



・・・ーー何故だろう
とても懐かしい。
なんでこんなに楽しいのに
こんなに……こんなにも胸が痛いんだろう




「もも。もーもー!!」





「あ、ごめんボーッとしてた、何ー??」



「来年もまた一緒に来ような。」



「……うん!約束ね」


ああ、そうか、
これは過去なんだ。

私の好きだった人。私の好きなエクボ。


これが走馬灯というものなのかな。


……ああ、やっぱあの注射はやばい注射だったんだ。



「りょーちゃん、」




走馬灯って自由に身動きとれるんだね。
しかも、まるであの日に戻ったみたいな気分



「んー?なんだよ」




「私りょーちゃんの事好きだよ!」


ああ、
やっと言えた。
やっとやっと言えた。
これで死んでももう成仏できる
あのまま死んじゃったらだって貴方の所に化けて出てしまいそうだったから。



「おー!珍しく素直じゃーん」


あの時はこんなこと言えなかった。
あの時わたし達は他愛のない話をしながら花火を見てそのまま帰ったんだ



「なあ、もも?」




「なあにー?」


この繋いでる手も。
そこから伝わる体温も。
貴方の香水の匂いも。

こんなに好きだったのに



「日本の法律だと同性愛ってさ、ゴールがないんだよ。
結婚がゴールだとしたらね。
だから同性愛ってずっとゴールがないまま走るってことなんだよね。結婚ができなきゃ、離婚もないし」




「うん」




この話、何回聞いただろう

あの頃の貴方は何回も同じ話をしていたね。


「そのくせさ、一般の恋愛より少し難しいし、悩みも少し多いよな。手とか堂々と繋げないし、クリスマスカップル割引とか効かないし。同性愛のカップルって長続きしないってよく聞くんだよね、まあ言ってる奴が偏見してるっていえばそれで終わりなんだろうけど」



「……うん。」



胸が痒い
目が熱い
痛い。痛いよ


「俺も正直そう思うんだよね。実際周りの同性愛者長続きしないし、よく悩みとか聞くし、でも俺、大事にするから。もも。いつもありがとう。」




付き合ってるときに言われた事のある言葉。
何回この話をされても
私は貴方と別れて8年間思い出したことなんて一度もなかった。


なのになんで今になってこんな大切だった事を思い出すんだろう。
なんで8年間私は思い出さなかったんだろう