(いいか…オイラ達はベタ星人だぞ……みんなバレないようにしてくれよ)


(私達はベタ星人……私達はベタ星人……)


言葉に発しない様に、皆、心の中で暗示をかける。


勢い良くドアを開けたベタ星人は、不自然に5人固まって立っているシチロー達に向かって声を発した。


「おいっ!お前ら、こんな所で何やってるんだ!サボってないで仕事しろ!
俺なんかもう百人は捕まえたぞ♪」


「えっ?……日本語なんですね……」


無言で通す筈が、思わずこんな言葉をかけてしまったシチローに、ベタ星人は不思議そうに答えた。


「そりゃあ、日本侵略組は翻訳機を日本語にセットしてあるからな……変な事訊く奴だな……」


これも、ベタ星の進んだ科学技術の産物である。翻訳機を日本語にセットすれば、ベタ星人が喋った言葉は、ほぼ同時に翻訳され日本語として発声される。逆に聞き取る方は、全宇宙の言葉を瞬時にベタ星の言葉として聞く事が出来るのだ。


「ところでお前達、ここで何してたんだ?見たところ、ここに人間はいない様だが……」


「いやあ~♪ちょっと休憩を♪」


日本語が通じると知って、頭を掻きながら平然と質問に答えるシチロー。


「なんだ~♪みんなで休憩してたのか~♪」


ベタ星人も、シチローの真似をして頭を掻く仕草をする。


「いやあ~♪そうなんですよ~♪」



バン!!



「お前ら、俺をナメてんのかあぁぁっ!
休憩なんてしてる場合かっ!!」


軽く流してくれるのかと思いきや、ベタ星人はテーブルを両手で叩いて怒鳴り声を上げた。


どうやら、このベタ星人は、何人かの部隊をまとめる、少し高い地位にいる者らしい。