まもなく、シチロー達5人を乗せた車は、てぃーだが提案した舞台の衣装倉庫へとたどり着いた。


「へぇ~♪意外と広いんだな♪それに、キッチンやシャワールームも付いてるし、ここなら暫く滞在出来るな♪」


この建物は、複数の劇団が互いに資金を出し合い集めた様々な衣装や着ぐるみ等を保管してある所で、てぃーだの所属する劇団も、時々この衣装倉庫を利用していた。


「わぁ~♪スゴイたくさん衣装があるね~♪」


ヨーロッパの貴族の衣装から、時代劇の着物、現代物用から、未来SF物の衣装まで……
この倉庫には、ありとあらゆる衣装が所狭しと並んでいた。


ひろきと子豚は、子供の様に目を輝かせて、それぞれの衣装を物珍しそうに見て回った。



「みて、ひろき♪
アイ~~ン♪」



子豚は、時代劇用の着物の中から、殿様の衣装を身に付け、更に顔をドウランで真っ白に塗って
あのベテランコメディアン演ずる“バカ殿”を真似て見せた。


「ああ~っ!いいな~コブちゃん♪あたしも“変なおじさん”探してこよ~っと♪」


子豚とひろきは、先程の恐怖も忘れてしまったのか、すっかりコスプレに夢中になっている。


「ちょっと~!二人共お願いだから、衣装汚したりしないでよ……」


この場所を提案した事を、ちょっぴり後悔するてぃーだであった。