「ふぅ……危なかったな……」
「私なんか、手ぇ掴まれちゃったわよ!」
地下のガレージから飛び出した車の中で、シチロー達は、ほっと胸を撫で下ろした。
「さて……逃げられたのはいいが……これからどうしようかな……」
ベタ星人に踏み込まれた事務所には、暫く戻る事はできない。だからといって、このまま外を徘徊しているのも危険極まりない事である。
「何なら、この近くにアタシのお世話になってる舞台の衣装倉庫があるんだけど、そこを隠れ家にする?」
本業で舞台役者をやっているてぃーだが、そんな提案を投げかけた。
「ティダ♪そこって、冷蔵庫とかある?」
「えっ?あるけど……
冷蔵庫に何か用?ひろき?」
「エヘヘ~♪」
よく見ると、ひろきは先程ビールを山ほど詰め込んだバッグを、しっかりと持って来ていた。
「あ~っ!ズルイひろき!私もプリン持って来るんだったわ!」
「コブちゃんはそれどころじゃ無かっただろ……」
呆れた顔でシチローが呟いた。
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