お、お、おんぶ!?いやいや、お嬢様ってば子供じゃないんだから何を言ってんだか!

あたふたしていると、早くしろよと言わんばかりの顔をされる。

仕方なく俺はしゃがんで、おんぶする体制になる。


「どうぞ、お嬢様」

「どっこいしょ」

「ちょっと、オッサンみたいな掛け声やめて下さいよ」


そう言いながら、お嬢様を背中に乗せて立ち上がる。あっ、軽いな。

こんなお願いをしてくるお嬢様を、可愛いなと思ってしまう俺、加藤。



部屋を出る時に見た、扉に刺さっているナイフには何も触れないでおこう。