クラス中の人が穗邑に見惚れているころ……










「そろそろ、戻ろう………」

涼は、静かな屋上で一人。
いくらか落ち着いたらしく、涼は教室へと、戻っていった。
 
途中、涼と同じようにサボっていた人や、遅刻してきた人たちと言葉を交わしながら。









『サボりたい…………』

基本、無精者の涼にとって授業はめんどくさくて仕方がないのだが、サボろうものなら李夜桜が怒るため余りサボらない。

『めんどくさいけど…………』

涼は、深呼吸をして教室のドアを開けた。










―――――――――――ありえない。



教室に入った涼が目にしたのは、涼のほうをみて微笑み手を振る穗邑の姿。





なんで彼が此処に………?





しかも、にこにこと手を振って…



―――――――――――――目の前に。






――――――変わらない、あの時のまま。




「久しぶりだね、りょうちゃん。」




そう、名前を呼ぶ声も


儚げな笑顔も


嫌がるのを分かってて、りょうちゃんと呼ぶことも…………………




あの時と何も変わらない彼のまま、僕の目の前に…………












「な、んで、いるの………………?」





ただ、擦れた消え入るような声で呟くのが精一杯で。







気が付いたら、その場から駆け出していた。









『穗邑、何で…………………?』






僕の前に現われたの…………?