「柚先生、優しいですね」


花畑 蜜の静かな落ち着いた声が柚の耳元近くで響く。
一人で夜空を見上げている時のような落ち着く空気感。
夕方の沈む夕日を映す海のささやきのような声。
柚にとって、全てが心地良かった。
このままずっとこうしていたかった。


「あっ!」


無意識に抱きついた瞬間、確実に触れた男性のたくましい肩に我に返った。


「ご、ご、ごめんなさい!」


年下の、後輩の、同僚にオトコを感じてしまった。
それどころか、何か特別な気持ちがもくもくと湧いて来ている。
柚の顔は真っ赤になり、全身が沸騰したかのように熱くなる。
そしておしのけるように無理やり降りようといた。


「危ないって。降ろすから。ちょっと待って!」


柚に暴れられて、花畑 蜜も必死で体勢を整える。