「あ、い……衣装!あの、箱は?ダンボール?」


落ちた恥ずかしさ、抱っこされている恥ずかしさをごまかすように、慌てて聞く。


「大丈夫」


花畑 蜜はそう言って笑うと、視線を側の机に向ける。
そこにはちゃんと、柚がさっきまで抱えていたダンボール箱があった。
どこにも損傷はなさそうだ。


「良かったぁ。ありがとう。花畑先生」


ほっとした柚は花畑 蜜の胸に顔をうずめた。


「これね、みんなの思い出が詰まってるの。その時の気持ちとか、頑張りとか。だから、それを落としちゃうみたいでね、嫌だったの。だから……ほんとにありがとう」


柚の優しい香りがふわぁ~っと花畑 蜜を包む。
ハンドソープの香り?
自分を頼って体を預けている柚。
そのしぐさと言葉が可愛くて、何だか愛おしく感じた。