「みっちゃん先生!」


子供たちに囲まれて竹馬に乗るのを手伝っていた花畑 蜜は、後ろから大きな声で呼ばれた。


「はい!」


隣にいる子に腕を引っ張られながらも、何とか可愛らしい声の方へ振り返る。


「お話があります!」


クリッとした大きな目、ハキハキとした喋り方、確か年長クラスの鈴音(すずね)ちゃん。
『いいよ』と花畑 蜜が答えるのを待たずに、その腕を引っ張って行く。
花畑 蜜はされるがままについて行く。
園庭の端。
ピンクのコスモスが揺れる前。
ようやく鈴音の手が離れた。


「みつくん!」


「え、あ、はい」


さっきは確か『みっちゃん先生』と、他の園児たちと同じように呼んでたはず。
花畑 蜜は少し面食らう。