「すっかり懐かれてるわね」


「えっ!あぁ……、そ、そうですね。でも園長、これでいいんですか?彼は一体どういうつもりでここで働いてるんですか?朝からちゃんと来たかと思ったら、昼には帰る。こうやって夕方近くにふら~っと現れてすぐ帰る。この間なんてもう誰もいない時間に来てたんですよ。ほんと、何しに来たんだか」



少し怒った口調で柚が言う。
園庭のよく見える園長室。
窓を開けて外の風を入れながら、園長と柚は楽しそうに園児たちとじゃれ合う『花畑 蜜』こと、月夜見 蓮を見ていた。


「あら、この間は柚先生も助かったんじゃない?竹馬、一人で作ってたんでしょ?」


笑いながら園長が柚を見る。


「あ……あの時は……。他の先生たちはみんな用事があって。あの、みんな残るって言ってくれたんです。でも、私が断ったんです。私、時間あったし。こういうの得意だし」