「隠すなら、とことん、死ぬまで隠せって」


二人はじっと見つめ合う。
お互いの覚悟を確認するかのように。


「だな?」


ふふっと風人が笑った。
『うん』と絆も笑う。


もっと、もっと、ほんとは掘り下げて話したい。
結婚、どう思ってる?
したい?
でも無理だよね。
今、そういう人いる?
いつまで待たせる?
いつまで待てる?


「でもさ、こんだけ美味いチャーハン作れるなら、奥さんなんていらないね」


「気分転換にたまに作ってたら楽しくてさ。適当なんだけどね」


彼女がいるかと思ったのは間違いか。
風人の勘はよく当たるが、たまには外れる事もあるだろう。
蓮は……蓮はやっぱりおかしい。はずだ。
でも、何も証拠がない。
これ以上は絆にも言えない。


「隠し子はマズイけど、恋愛はいいと思うよ。素敵な恋は人を成長させる」


『なるほどね』
自分の勘が間違ってなかった事にホッとして、最後の一口を名残惜しそうに味わった。