「お待たせ。いきなり来るからさ、こんなものしか出来ないけど。まっ、食べて」


冷蔵庫にあるものでパパッと作れる。
こんな奥さん、ほんと欲しいな。
風人の目の前には、いい匂いのする絆のお手製チャーハン。
ネギ、ハム、玉子、人参、コーン。
ほんとにあり合わせ。
でも、まぁ、男の一人暮らしによくもこれだけあるものだ。
『彼女、いるな』
風人は心の中でそう思った。


お礼を言うと、風人は勢いよく食べ始めた。
お腹はぺっこぺこに減っている。
『めっちゃ、美味い!』と思い切り頬張って食べる風人を、絆は嬉しそうに見ている。



「オレさ、思うんだよね」


絆の言葉に風人が顔を上げる。


「アイドルって夢を売る仕事なんだよ。だから、絶対に夢を贈り続けなきゃならない。何があっても」