「何?嫁にもらってくれる?」


絆は笑って冗談で答える。
この居心地の良さを求めて、絆の家に寄ったのかもしれない。


「泊まって行こうかなぁ」


「別にいいけどさ。明日、SONIAでの仕事だし。ご飯、食べた?」


「ありがとう。なんかさ、帰りたくないって言うか。ここがいいって言うか」


風人は椅子に座ったまま、大きく伸びをした。
その間に絆は手早く何かを作り始める。


「オレたちってさ、」


「うん」


キッチンで何かを刻みながら、絆は相づちを打つ。
風人は重そうな口をようやく開く。


「隠し子いたら終わりだよな?」


『えぇぇー!』と、絆は雄叫びを上げた。
持っていた包丁は偶然だと思うが風人の方を向いている。
それを見た風人は思わず椅子から立ち上がる。


「バ、バカ。違うって。オレじゃないって。そうじゃなくって、例えばの話。一般論!」