信也があくびをする。

 私はリビングから窓の外を見た。

 薄っすらと、世界が白みがかって、夜明けが近いことが分かる。

 もうそろそろ、スズメが起きだす時刻だ。

「じゃあ、また数時間後に」

 信也は片手を上げて、二階へ上がっていった。

 それを合図にみんな動き出す。

 アキラはリビングのソファーに腰を下ろしてクッションをかかえた。

 どうやらそこで寝ることにしたらしい。

 かおりと私も部屋に戻る。

「おやすみなさい」

 かおりが布団に入りながら言う。

「優子、明日育ててるハーブ見せてね」

 目がゆっくりと閉じていく。

「もちろん。もう今日だけどね」

「ん」

「ねぇ、かおり」

「なぁに?」

 目を閉じたかおりはゆっくりと言葉を返した。

「―――私が見つけたいものはね」

「ん」

 眠くて意識を無くしそうになりながら、かおりはなんとか相槌をうつ。

 私は布団を軽くかけたかおりの寝顔を見下ろした。


 寝息が聞こえる。


 私も布団を被る。

 ゆっくり寝て、目が覚めたらみんなに言おう。

 私が何を探しにここに来たのか。

 きっと、かおりは真剣に聞いてくれるだろう。

 アキラは、聞いてない振りをしながらも聞いてくれそうだ。

 信也は―――たぶん笑うだろう。



 何も考えないで今は眠ろう。

 今できることは寝ることだけ。



 おやすみなさい。

 また―――数時間後に。