「ふぅ」

 ゆっくりあきらめたように、息を吐き出す。

 そして、顔を上げた。

 明かり一つない神社の中を見渡す。

 私はなにをやってたんだろう。

「かおり、私、もう大丈夫だから、私の前に死ぬなんて言わないで」

『今、どこにいるの?』

 かおりが泣きじゃくりながら聞いてきた。

 これ以上心配かけたらかおりが危ない気がして、私はうそをつく。

「もうすぐラベンダー荘に着くから」

 そう言いながら私は神社を出る。

 急いで、ラベンダー荘に向かって歩き出す。

『本当に?』

 かおりの声が涙で揺れている。

『外に出て、待ってる。そのまま携帯切らないで。絶対切らないで!』

「―――うん」