そのまま、彼はあたしを抱いたまま
教室に向かい走ってくれてる。
助けに来てくれた人がこの人でよかった…
優しく接してくれるし、
何より喘息って見ただけでわかって…
よかった…やっぱ今日ツイてるや…
「おい!着いたぞ!鞄どこ?」
「あ…そこ…の……」
「中、俺見ても大丈夫か?」
「はいっ……ケホッ…全然…」
動けないあたしを見て、
片手であたしを抱き、逆の手で鞄をあさる。
「…あった!はい吸って!深呼吸して?ゆっくりはいて…吸って…」
彼は見つけた吸入器をすぐあたしの口に持って行き、
上体を少し起こして背中をさすってくれる。
「スゥー…ハァー………ケホッ…」
「ん。もう大丈夫だから。ゆっくり呼吸して?
ゆっくり…。ね。落ち着いてきた。」
彼がゆっくり背中をさすりながら
優しく声をかけてくれる。
なんだろ…
すごく…安心する……