体育館を出ると、
押さえていた咳がこみあげる。
「ゲホゲホッ…ヒュー…ゲホゲホゲホッ…!」
吸入……
え…?
ない…!?
あ!教室のカバンの中…
さっき熱でボーッとしてて持ってくるの忘れたんだ…!
どうしよう…
教室に吸入を取りに行こうとするが、
熱で重い体と咳で前に進まない。
「ゲホゲホッ…ヒュー…ゲホゲホゲホゲホ…うっ…ハァ…ゲホゲホッ…!!」
咳はひどくなっていく一方。
息ができない…!!
その時急に視界がグワンと揺れ、壁に寄りかかる。
「ゲホゲホッ…だれ…か…ゲホゲホッ助け…ハァ…て…」
みんなは今入学式で、廊下には人がいない。
もう壁に寄りかかっても立っていられず、
そのまま床に座り込む。
呼吸も出来なくて意識はどんどん薄れていく…
その時、
「大丈夫ですか!?」