そして、授業が始まった。 1時間目は、数学。 私が、一番苦手な教科だ。 年配の男の先生の喋り方が、 余計に頭を混乱させる。 それなのに、涼はすらすらと 黒板に書いてあることを写していく。 涼って、頭いいんだな……。 私が黒板ではなく 涼を見つめていると、 涼が急にこっちを向いた。 私は恥ずかしくなって、 あわてて目を逸らす。 「絢香?」 涼が不思議そうに首をかしげる。 「うっ…ううん、何でもないよ」