いや、そうじゃなくて。

「どうして家の中に入ってきたんですか?

合鍵は返してもらったはずですよね?」

そう聞いた私に、
「失くした時用のために2本作ってもらったんだ」

チャリと、上川は私に合鍵を見せた。

「なっ…!?」

あまりの手際のよさに何も返せなかった。

と言うか、2本作ってもらっていたって…。

それよりも、
「彼女のところに帰ったんじゃないんですか?

荷物なら全部表に出してありますよ?」

私は言った。

上川が帰る場所は私じゃなくて、彼女のところのはずだ。