俺は玄関のドアを開けようとすると…
 
ガチャ…
 
…開いた
 
「おーい、要ぇ…。入るぞ」
 
返事はないけど、奥の部屋から
話し声がする
 
俺は話し声がする部屋のドアを
そっと開けて中を覗いた
 
「お母さん、泣かないで。お父さんがいなくても、あたしがいるから」
 
泣き崩れているおばさんの肩に
要が手を乗せようとした時
 
パシンっ!!
 
おばさんに叩かれた要はチェストに頭をぶつけた
 
それでも…
 
「お母さん…ごめんね。あたしいい子になるから…」
 
泣きながら謝る要
 
「うるさいっ。いつもお母さん、お母さんて…甘えないでっ。あんたがいたってお父さんは戻らないのよっ。あんたなんか…あんたなんか……」
 
俺はおばさんが言おうとすることが何と無くわかったから咄嗟に
 
「おばさんっ。幾ら何でも言い過ぎだぞ」
 
「…けいすけ…」
 
「要、うちに来い。おばさん、暫く要はうちにおいとくから」