卒業式が終わって、あたしの家で
敦郎先輩と二人くつろいでいる
 
「その時計…」
 
敦郎先輩の腕にある
腕時計を見て言った
 
「あぁ、母親が送ってくれたんだよ。ありがとな、すげー嬉しかった」
 
あたしは首を横に振った
 
「あたしこそ、嬉しかったです。
これ」
 
先輩からもらった腕時計を
今も大事にしている
 
「…ところでさぁ、海里から何か言われなかった?」
 
…桜井先輩?
いつ?
 
………
 
「あぁっ、思い出した」
 
卒業式の時の事だ
 
「桜井先輩に付き合わないかって言われました」
 
「…それで?」
 
ん?ちょっと不機嫌?
 
「ちゃんと断りましたよ」
 
先輩はあたしを膝の上に座らせて
言った
 
 
「…俺は独占欲強いからこれから
苦労するかもよ?」
 
あぁ、不機嫌な理由はヤキモチ
ふふっ
 
「そんな苦労なら大歓迎です。
…昔も今も、あなただけ。
これからも…」
 
「かなわないな、要には…」
 
 
…チュっ
 
 
 
 
                                   fin