「卒業生代表、桜井海里」
 
「はい」
 
卒業生代表で答辞を読んだのは
桜井先輩
 
少しだけかっこいいって思っちゃった
 
本当に卒業おめでとう
 
本人も言ってたけど、大学生になってもあの人は何も変わらないんだろうな
 
 
 
「卒業しちゃったね。ちょっとだけ寂しい気もしない?」
 
校庭にいる卒業生を見ながら
亜子が言った
 
「そうだね…。いろいろあったからね」
 
顔を向けた先には桜井先輩が女の子に囲まれている
 
「間宮っ」
 
呼ばれた瞬間、何かが飛んできた
 
「わっ」
 
手の中にあったのは制服のボタン
 
「俺の第二ボタン。記念にあげるよ」
 
あたしはニッコリ笑った