「要、ご指名だよ」
え?
隣に座る亜子がニヤニヤしながら
教えてくれた
その瞬間、女子が一斉にあたしを見る
周りからは悲鳴のような声が…
「何でまたあの子?」
「センパーイ…、、、」
よく事態を呑み込めずにいると
亜子が続けて言った
「早くしないと負けちゃうよ」
その言葉にすぐグラウンドに出ると
目の前にいるのは紛れもなく
敦郎先輩
「…なん、で?」
「いいから行くぞ」
そう言った途端先輩が
あたしの手を握って走り出す
脚が縺れてうまく走れない
すると体がフワッと宙に浮いた
「わっ…」
「色気の無い声だな。このまま走るからしっかり掴まれよ」
お姫様抱っこされてるのが恥ずかしくて先輩の首にしっかり腕を回した