あれからあたしは時間がある時に屋上に行くようになった
 
いつでも来れるようにとエスパーが屋上の合鍵をくれたからだ
 
エスパーも勝手に合鍵を作ったらしく、予備をあたしにくれた
 
そして何故あたしが未だにエスパーと呼んでいるかと言うと…
タイミングを逃したから
 
エスパーの胸で大泣きした醜態を晒した後に今更、名前は何ですか?と聞けないからだった
 
何より、『エスパーさん』と呼べば『…何』と返事が帰ってくるのも理由の一つかもしれない
 
そして今日も…
 
「ダメだぁ~、ぜんっぜんわかんない」
 
フェンスに寄りかかるようにして座りながらテスト勉強をしている、あたし
 
どうしたらこの答えになるのやら…
 
チラリと横を見ると教科書ではなく料理本を持っているエスパー
 
あと1週間でテストなのに…
余裕なんだなぁ