「恵介?」
腕を組んで塀にもたれ掛かっているその人は少しだけ大人びた眼差しであたしを見ている
「よう、晩飯できてるぞ」
自分から先輩にサヨナラを言ったせいか、今日は一人でご飯を食べる気分じゃなかった
かと言って今更、亜子を誘える訳がなく…
「ありがとう」
あたしは満面の笑みで応えた
きっと、あたしを気遣って亜子が恵介に連絡したんだろう…
「何、お前またケータイ換えたの?かー、金持ちだねぇ。俺もそろそろ換えるかなぁ」
頭を掻きながら家の中に入る恵介の後にあたしも続く
「なけなしのお金で買ったんだよ。バイトの日数増やさなきゃ」